高温超伝導体の超伝導の仕組みに関わる検証実験
- タイトル:高温超伝導体銅酸化物での電子-格子結合のアイソトープ効果
- 論 文:Physical Review Letters 101, 157005 (2008)
- 著 者:H. Iwasawa, J.F. Douglas, K. Sato, T. Masui, Y. Yoshida, Z. Sun, H. Eisaki, H. Bando, A. Ino, M. Arita, K. Shimada, H. Namatame, M. Taniguchi, S. Tajima, S. Uchida, T. Saitoh, D.S. Dessau, and Y. Aiura
- 機 関:広島大学放射光科学研究センター、広島大学、東京大学、大阪大学、産総研、コロラド大学(米国)
磁気かそれとも格子振動なのか?この問いに答えるために、高温超伝導体が発見されたからの約20年もの間、実験および理論の研究者の努力が続けられてきた。米国にある最新の放射光施設ALSと広島大学放射光科学研究センターでの真空紫外線を用いた角度分解光電子分光実験で格子振動が重要であることが示された(Nature446)。
Iwasawa 等の研究チームは広島大学放射光科学研究センターでの高い分解能での計測を引き続き実施しより明確な確証を得た。
重さの異なる酸素の同位体16O、18O で育成された試料を用いて、格子振動数の変化が超伝導体の電子にどのように影響するかを角度分解光電子分光で調べたところ、トンネル分光実験で得られた結果を同程度の影響を見いだすことに成功した。
本成果は、高温超伝導発現機構を考える上で電子と格子振動が重要な役割を担っているという明確が証拠を示したことになり、高温超伝導体の研究におけるマイルストーンとなる研究成果と言える。