HiSOR セミナー
超短パルスレーザー照射による 磁化スイッチング現象の探索
日時 2023年11月14日 (火) 14:20~15:20
場所 広島大学放射光科学研究センター 2階 セミナー室
講師 和達 大樹
(兵庫県立大学)
磁性体にピコ秒より短い時間幅を持つ超短パルスレーザーを照射し、その磁化 を超高速で操作する試みは、次世代磁気記録デバイスとしての応用が期待さ れ、近年積極的に研究されている。特に注目される現象は、磁場を印加せずに レーザー照射により磁化をスイッチングする全光学的スイッチング(AOS)であ る。AOSは合金薄膜などで報告されており、我々はより化学的に安定と思われ る酸化物薄膜におけるAOSを探索している[1, 2]。レーザー照射後の磁区を磁 気光学カー効果(MOKE)顕微鏡により観察することで、室温で垂直磁気異方性の 性質を有するNiCo2O4の薄膜において多数のレーザーパルス照射によるAOSが実 現することを明らかにした。また、3Dプリンターを用いて低コストで持ち運び 可能なMOKE顕微鏡装置を作製した[3]。必要な金額は全体で約20000円と、一般 的に売られているものよりもはるかに安価となったので、併せて紹介したい。
[1] R. Takahashi, H. Wadati et al., Appl. Phys. Lett. 119, 102404 (2021).
[2] R. Takahashi, H. Wadati et al., ACS Appl. Electron. Mater. 5 (2), 748 (2023).
[3] K. Uebo, H. Wadati et al., F1000Research 12, 860 (2023).
問合せ先 黒田健太(大学院先進理工系科学研究科)