放射光物理学(加藤)

電磁放射、ビーム物理及び先進加速器の研究

真空中をほぼ光の速さで走る高エネルギー電子が電磁場と相互作用することで生じる様々な電磁放射現象の研究とそれらの応用技術の開拓、量子ビーム源としての先進粒子加速器の開発研究、加速器の中でのビーム物理学研究に取り組んでいます。




教員
加藤 政博 教授(2019年4月着任)
島田 美帆 特任准教授(2019年11月着任)
宮内 洋司 特任准教授(2021年1月着任)

学生(2021年度)
加藤 慧悟君(B4)
四之宮 諒君(B4)
神尾 彬君(M1)






2020年度所属学生の研究活動



岩尾剛志君の卒業研究
「仮想現実(VR)を用いた放射光施設等の教育・見学用コンテンツの開発」
放射光施設を始めとする加速器施設への興味を高め理解を深めるには現地で大型装置を間近に見るのが効果的です。しかし、コロナ禍のような状況下では現地訪問による施設見学が困難です。岩尾剛志君は、加速器などの大型研究施設を、現地を訪問することなく臨場感を持って見学体験するための、仮想現実(VR)を用いた見学用コンテンツを制作しました。360°カメラを用いて研究施設内を数十点程度撮影し、専用ソフトウェアを用いて、本学の放射光科学研究センターと東広島天文台、さらにあいちシンクロトロン光センターのVRコンテンツを作成しました。普段は立ち入れない場所から装置を見ることで装置の仕組みをよりよく理解できる可能性があるなど、現地見学にはない利点があることを明らかにしました。この研究成果をもとに、日本放射光学会年会(オンライン開催)でポスター発表を行いました。


VRコンテンツ画像の例

平松快君の卒業研究
「超伝導偏向磁石を用いた小型放射光リングの設計」
本学の放射光科学研究センターでは電子エネルギー700MeV(7億電子ボルト)の電子シンクロトロンが稼働しています。小型コンパクトでありながら様々な長所を持つ加速器で、長年、安定に可動を続けてきました。しかし、この装置も建設されてから約25年が経過しています。より高性能な加速器の建設へ向けて設計検討を進めています。
平松快君は、現在の加速器と同程度の大きさを保ちつつ、その特長を引き継いだ設計を検討しました。電子ビームを曲げる働きをする偏向電磁石を超電導と常電導の磁石を組み合わせたハイブリッド型の磁石とし、波長の短いX線まで出せるようにしながら省電力化を実現しようとするアイデアです。電子ビームへの影響を考慮しながら、どこまで小型化できるかを検討し、電磁石の設計を進めました。この研究成果をもとに、日本放射光学会年会(オンライン開催)でポスター発表を行いました。


設計した500MeV電子シンクロトロンの配置図


2019年度の所属学生の研究活動

野津 庄平君(M2)
修士論文タイトル「干渉計を用いた放射光時間構造の研究」
概要:マイケルソン型干渉計を自作し、周期的な交番磁界中を運動する超相対論的な電子が放射する光子の波としての時間構造を計測することに成功しました。研究成果は、ビーム物理研究会(大阪)、放射光学会(名古屋)においてポスター発表しました。




平田 翔君(B4)
卒業論文タイトル「パルス八極電磁石による小型放射光リングへのビーム入射の研究」
概要:円形の加速器の軌道上に電子ビームを入射する新しい手法について、プログラム言語Pythonを用いて計算機シミュレーションコードを自作し、ビーム入射が可能な条件を決定しました。研究成果は、ビーム物理研究会(大阪)、放射光学会(名古屋)においてポスター発表しました。




國宗 ひなさん(B4)
卒業論文タイトル「レーザーコンプトン散乱によるマイクロフォーカスガンマ線源の研究」
概要:超相対論的な電子ビームにレーザービームを衝突させてガンマ線を発生する手法において、衝突点でのレーザー集光サイズを極小化するための光学系を自作の光線追跡プログラムを用いて設計し、これを実験室で構築しその集光特性を評価しました。研究成果は、ビーム物理研究会(大阪)、放射光学会(名古屋)においてポスター発表しました。





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