研究室紹介(放射光物性)

  • 島田・出田グループ
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     私たちの研究グループでは、HiSORの真空紫外・軟X線域の放射光を利用した高分解能角度分解光電子分光(ARPES)により、固体(超伝導体やトポロジカル絶縁体など)の電子構造を明らかにする実験を行っています。とりわけ大型電子エネルギー分析器を光軸の周りに回転させ、直線偏光依存高分解能ARPESを観測できる装置は世界的に見ても極めてユニークです。このため国内・海外から多数の研究者・学生が利用に訪れ、超伝導体、磁性体、トポロジカル物質など様々な物質に関する実験が行われています。また、光源に紫外線レーザー光を使った世界トップクラスのエネルギー・運動量・空間分解能を持つARPES装置の建設を行い利用しています。レーザー光を数μm程度に集光することにより、従来は測定が難しかった数十μm程度の微小単結晶試料の精密電子構造解析が可能となりました。また高速に動作する自動測定プログラムを開発し、単結晶試料の劈開面の電子構造の空間マッピングも測定可能となり、装置開発にも力を入れています。是非、物性物理学の未解明問題に挑戦してみてください。
  • 佐藤グループ(ホームページ
     私たちの研究グループでは光電子分光(PES)および逆光電子分光(IPES)を用いて物質の電子状態を調べています。実験はHiSOR(BL-1, BL-7, BL9A, BL-14, IPES)および兵庫県のSPring-8で行っています。研究対象にしている物質は主に希土類であるYb化合物です。Yb化合物は局在的な4f電子間のクーロン相互作用と伝導電子との混成を起源として様々な面白い物理現象を引き起こします。例えばYbの価数が非整数値をとる価数揺動状態を引き起こしますが、揺動した価数の値はPESの測定で明らかにできます。4f電子の電子状態を調べることでYb化合物の興味ある性質がどのような機構で決まるのかを調べています。
  • 奥田・宮本グループ
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     私たちのグループでは、スピン分解光電子分光を用いた量子スピン物性の研究と、新しいスピン分解光電子分光装置の開発を行っています。私たちは、従来の電子スピン検出器の100倍の感度を持つ新しいスピン検出器(VLEED)を開発し、スピン分解光電子分光のエネルギーおよび角度分解能をおよそ10倍高め、三次元ベクトル解析を可能とした装置を開発しました。現在では、次世代マルチチャンネル検出器の開発を進めています。更に、光源として、放射光だけでなく、レーザーを利用した装置も開発中です。これらの装置を利用して、スピン量子現象の解明に向けた研究を進めています。
  • 松尾グループ(ホームページ
     アミノ酸やDNA等の生体物質の多くは、キラリティと呼ばれる特殊な物性を有しています。円二色性(CD)分光は、この物性の違いに敏感なため、水溶液中のタンパク質、糖類、DNA等の構造や、温度・pHといった生体環境の変化に伴う構造変化を観測する手法として利用されています。真空紫外円二色性グループが使用するHiSOR BL-12実験ステーション(下図)は、近紫外から真空紫外領域(~140 nm)までの広範囲のCDスペクトルを測定できる国内唯一の放射光ビームラインです。CD分光という物理学的なアプローチから生体物質の構造研究を行い、構造生物学、糖質科学、放射線影響学、アストロバイオロジー(生命の起源)などの生命科学研究に取り組んでいます。ここでしかできない「物性科学と生命科学の融合研究」にぜひチャレンジしてください。
  • 澤田グループ(ホームページ
     私たちの研究グループでは、磁気デバイス材料として有望なナノ構造磁性体を原子スケールの制御精度で作製し、放射光の偏光特性を生かした軟X線吸収磁気円二色性分光測定を行うことで、その磁性や電子状態を明らかにする実験を行っています。磁気円二色性(MCD)とは、磁性体に円偏光を入射したとき、左回りまたは右回りの違いによって吸収強度が異なる現象です。MCDスペクトルを解析することで、磁性の起源であるサイトあたりの局在磁気モーメントを元素選択的に求めることができます。また、人工的に作製した磁性体構造について、電子線回折や走査型トンネル顕微鏡を活用した微視的な構造解析も行い、構造と磁性の関係について詳しい研究を進めています。

研究室紹介(放射光物理)

  • 加藤グループ(ホームページ  
     真空中をほぼ光の速さで走る高エネルギー電子が電磁場と相互作用することで生じる様々な電磁放射現象の研究とそれらの応用技術の開拓、量子ビーム源としての先進粒子加速器の開発研究、加速器の中でのビーム物理学研究に取り組んでいます。